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AIが世界のiGaming不正急増を加速

Neha Soni
執筆者 Neha Soni
翻訳者 Hanako Takagi

世界のiGaming不正は、AIを悪用した攻撃、合成ID、ディープフェイクを利用した詐欺の拡大により、より危険な局面へと入りつつある。これらの手口がオンラインギャンブルプラットフォーム全体で不正行為を急増させている。

本人確認サービス企業Sumsubの「iGaming Fraud Report 2026」による最新の調査では、不審な取引件数は前年同期比で4.6倍に増加し、不審取引1件当たりの平均金額は6,000ユーロを超えた。同レポートは、犯罪者がAIツールを活用して不正行為を大規模化し、本人確認システムを回避するとともに、より高額な利益を狙う機会を標的にしている実態を明らかにしている。

最新データによれば、iGamingにおける不正は、もはや偽造書類や単純なボーナス不正利用が中心ではない。現在、事業者は、合成ID、偽造書類、ディープフェイク、大規模な複数アカウント攻撃を生成・実行できる高度な不正ネットワークへの対応を迫られている。これらの結果は、オンラインギャンブルにおける不正リスクの高まりと、既存のセキュリティ対策がAIを活用した不正への対応に苦戦している現状を浮き彫りにしている。

世界的にiGaming不正率が上昇

同レポートによると、iGaming全体の不正率は2024年の1.10%から2025年には1.30%へ上昇し、2026年第1四半期には1.53%に達した。これは前年比で約18%の増加となり、ギャンブル事業者の不正対策システムへの負担が高まっていることを示している。

割合自体は小さく見えるものの、世界のオンラインギャンブル市場全体では数百万件規模の不正な本人確認申請に相当する。同レポートは、数百万件に及ぶ本人確認データと、iGaming分野で確認された300万件以上の不正試行を3年間にわたり分析した結果に基づいている。

業界専門家は、多くの不正申請に従来のような明確な兆候が見られなくなっているため、不正の発見がますます困難になっていると警告している。犯罪者はAIで加工した書類、ディープフェイク、生体認証回避、行動パターンの偽装、アカウント大量作成など、複数の手法を組み合わせて利用している。

iGaming業界全体で不審取引が急増

同レポートで最も重要な調査結果の一つは、iGaming業界全体で取引リスクが悪化していることである。調査によると、不審取引の件数は過去1年間で4倍以上に増加し、不審取引1件当たりの平均金額も同期間に約64%増加した。

取引件数と金額の双方が増加したことで、事業者が負う財務リスクは大幅に拡大している。不審取引1件当たりの平均金額は現在6,000ユーロを超え、従来のほぼ2倍となった。

これらのデータは、不正行為者が大量・少額型の攻撃だけでなく、より高額で利益率の高い標的へと重点を移していることを示している。事業者にとって、不審取引の増加は、iGaming不正が組織化され、経済的損失が拡大していることを示す最も明確な警告の一つとなっている。

AIを活用した不正が脅威の構図を変える

人工知能は、現代のiGaming不正の中心的な要素となりつつある。同レポートでは、AIが生成・支援する不正コンテンツが業界全体で急増していると指摘しており、その中には合成された顔画像、加工済み書類、テンプレート化された身元情報、大量生成された申請データなどが含まれる。個々の提出物の品質が低くても、その圧倒的な件数によって本人確認システム、不正対策チーム、コンプライアンス部門に大きな負荷を与える可能性がある。

専門家によると、AIを活用した不正は、高度な不正手法を低コストかつ短時間で利用可能にしたことで、不正行為への参入障壁を大幅に下げた。これまで専門知識が必要だった作業も、市販のAIツールを使って実行できるようになっている。

欧州では、AIで生成された本人確認書類、公共料金請求書、合成IDの利用が増加していることが確認された。また、不正対策チームは、AIによる複数アカウント作成、ディープフェイク、不正な本人確認手法の増加も確認している。

Sumsub's iGaming Fraud Report 2026 finds average suspicious transaction is now worth over €6,000 (Source: Sumsub)
不審取引1件当たりの平均金額は現在6,000ユーロを超えている(出典:Sumsub「iGaming Fraud Report 2026」)

同レポートは、AIを活用した不正は2026年後半から2027年にかけてさらに拡大する可能性が高いと警告している。犯罪者が生成AI技術を事業者よりも速いペースで導入しているためである。その結果、iGaming不正はさらに高度化し、大規模化するとともに、発見がより困難になると予想されている。

不正行為者は本人確認突破により多くの時間を費やすように

もう一つ注目すべき傾向は、不正行為者が本人確認システムを突破するために費やす時間が大幅に増加している点である。同レポートによると、不正利用者は現在、正規利用者よりも4.6倍長い時間をかけて本人確認を完了しており、わずか5四半期前の2.3倍から大きく増加した。研究者は、これはディープフェイク、偽造書類、合成ID、組織的な本人情報攻撃など、事前準備を要する高度な不正手法への依存が高まっているためだと分析している。

不正行為者は自動化された攻撃だけに頼るのではなく、提出内容を何度も修正し、不正検知システムを回避するため戦術を調整するなど、より慎重な手法を採用している。この変化は、現代のiGaming不正が単純な自動攻撃ではなく、忍耐力、継続性、高度な技術に依存するようになっていることを示している。

地域別の不正動向が新たなリスクを示す

不正率は地域によって大きく異なる。2026年第1四半期では、アフリカが2.54%で最も高く、次いでアジア太平洋地域(APAC)が1.92%だった。欧州とラテンアメリカはいずれも1.14%、北米は0.44%で最も低かった。

アジアおよび欧州では、規制当局がギャンブル不正対策を強化している。6月には、中国の習近平国家主席がミャンマーに対し、オンラインギャンブルや通信詐欺など越境犯罪への対策強化を呼びかけた。一方、フランスでは、同国のゲーム仲裁機関がプレイヤー不正の急増を指摘したことを受け、ギャンブル事業者が利用規約を厳格化している。また、欧州ゲーミング・ベッティング協会(EGBA)もオンライン不正リスクの高まりについて警告している。

ただし、不正率が低いことは必ずしもリスクが低いことを意味しない。同レポートは、北米のような成熟市場では、ディープフェイクや合成ID、高度に標的化された攻撃がより多く見られ、不正の内容自体が高度化していると指摘している。一方、欧州では偽造本人確認書類や本人確認不正、AIを活用した高度な不正手法が引き続き大きな課題となっている。ラテンアメリカでは住所証明書類の偽造が深刻化し、アジア太平洋地域ではセルフィー詐欺やディープフェイクによる本人確認攻撃が依然として大きな問題となっている。

これらの調査結果は、オンラインギャンブル業界全体で不正対策の考え方そのものが変化していることを示している。従来の単一の本人確認だけでは、AIを活用した不正や組織的な不正ネットワークへの対応が難しくなっている。業界専門家は、本人確認、取引監視、行動分析、デバイス分析、不正ネットワークの検知を組み合わせた包括的な対策の導入が不可欠だと指摘している。

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