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大手が動けば、皆が追随する

Shirley Pulis Xerxen
翻訳者 Hanako Takagi

iGaming業界はイノベーションに対して独特な関係性を持っている。誰もがそれを望んでいるが、最初の一歩を踏み出したがらない。そう語るのは、Conduetの共同創業者アレックス・ジョーンズ氏だ。彼はICEバルセロナ2026の会場でSiGMAニュースの取材に応じ、いわば“部屋の中の象”とも言えるテーマ――AI主導のカスタマーサービス自動化――について語った。

「iGaming業界は、大手が最初の一歩を踏み出すのを待ち、それから他社が続くという独特な業界です」とジョーンズ氏はインタビューで説明した。「大手オペレーターの一社が本格的にカスタマーサービスの自動化を始めれば、あらゆる規模の事業者が追随するでしょう。」

人工知能をめぐる大きな話題があるにもかかわらず、多くのオペレーターが様子見の姿勢を崩さない理由を率直に言い当てた発言だ。

業務パートナーからAI主導ソリューションへ

2018年の創業以来、Conduetは単なるアウトソーシング業務パートナーから、ジョーンズ氏の言葉を借りれば「iGaming業界向けのAI主導型アウトソーシング業務パートナー」へと進化してきた。この転換は偶然ではなく、特に拡大を続ける米国市場における競争激化の中で、事業者がコスト構造の見直しを迫られているという業界全体の変化を反映している。

「当初は大規模な成長と顧客獲得のフェーズでしたが、今はコスト削減が中心になっています」とジョーンズ氏は指摘する。課題は、品質を犠牲にすることなく、迅速かつ正確な顧客対応を実現しながら、間接費を抑えることだ。

そこでConduetが打ち出したのが二本柱のアプローチである。フィリピン拠点のサポートチームによる24時間365日の対応体制と、複雑な業務を処理するために設計されたAIプロダクトの組み合わせだ。ジョーンズ氏によれば、これは単に「コストを削減する」だけでなく、「プレイヤーにとっての成果と体験を向上させる」ことを目的としている。

24時間体制という現実

Conduetの歩みの中で明らかになった意外な点の一つは、北米の顧客が必ずしも現地チームを求めていなかったことだ。

「当初は北米の顧客がローカルチームを望むと考えていました」とジョーンズ氏は振り返る。「しかし、実際にはローカルチームは必須ではなく、彼らが求めていたのは24時間体制のカスタマーサービスと業務サポートでした。」

この気づきは同社の戦略を再構築する契機となった。高コストの国内スタッフが営業時間内に対応する体制よりも、火曜の午前3時であっても土曜のビッグゲーム中であっても同様に効率的に対応できる、常時稼働のサポートが必要だったのだ。

ただし、ここで重要なのは、オペレーターはAIを活用したいと考えている一方で、「どのように活用すればよいか分かっていない」という点だ。そのため、人間とAIを組み合わせるモデルが重要になる。口座確認やパスワードリセットのような反復的業務は自動化し、共感や判断力を要する複雑な対応は人間のエージェントが担うという形である。

ハイリスク環境での慎重姿勢

ジョーンズ氏は業界のためらいについて率直だ。予算制約がオペレーターに決断を迫る一方で、心理的な壁は依然として存在するという。

「多くのオペレーターは予算制約の中でリスクを取らざるを得なくなるでしょう」と彼は述べる。「しかし、大手のどこかが最初に踏み出すのを待ち、その後に他社が続くのではないでしょうか。」

これは典型的な“ファーストムーバー不利”の構図だ。プレイヤー離脱が激しい業界で運用上の不具合リスクを背負うか、他社の成功を待つ間にコスト効率で後れを取るかという選択である。

皮肉なことに、ConduetはカスタマーサービスにおけるAI最大の懸念である「ハルシネーション(誤生成)」問題をすでに克服したと考えている。「すべての回答が送信される前に安全チェックを行っています」とジョーンズ氏は説明し、不正確または不適切な回答生成リスクの低減に注力していると強調した。

コンプライアンスという綱渡り

イノベーションと規制順守の両立は、iGaming業界における永遠の課題だ。ConduetはSOC 2準拠を達成し、市場規制当局と緊密に連携しながら、AIによる回答が規制の一線を越えないよう管理している。

「オペレーターとも密接に連携し、顧客への回答内容について十分に納得してもらえるようにしています」とジョーンズ氏は述べ、安全プロトコルがすべてのやり取りに組み込まれていると付け加えた。

規制当局が厳しく監視する中、業界全体が“見せしめ”となる事例を避けようとしている姿勢がうかがえる。

Conduet Alex Jones
Conduet共同創業者、アレックス・ジョーンズ氏。

2026年の展望

ジョーンズ氏の2026年に関する見通しは慎重ながらも前向きだ。特に英国の増税などによる利益圧迫やマージン縮小が進む中で、拡張可能な顧客対応体制への需要が高まり、いずれ誰かが決断を下すという。

「大手の一社が本格的にカスタマーサービス自動化を始めれば、他社も追随するでしょう」と彼は繰り返す。問題は“もし”ではなく“いつ”であり、最初に動くのは誰かという点だ。

現時点でConduetは、安全策を備えた段階的導入モデルを提示する存在としてポジションを築いている。実績ある人的サポートとAI機能の融合、コンプライアンス体制の整備、そして米国のオペレーターとの実績を背景に、事業者にいきなり深みに飛び込むことを求めるのではなく、ガードレール付きの“浅瀬”から始める選択肢を提供している。

より大きな視点

ジョーンズ氏の見解から浮かび上がるのは、財務的圧力と運用上の慎重姿勢の間で揺れる業界の姿だ。自動化の到来は避けられない。コスト削減効果も明白だ。しかし、顧客ロイヤルティが脆弱で、規制監視が厳しい業界において、AIが不適切な発言をしてしまうリスクは誰も負いたくない。

ジョーンズ氏が指摘する“追随型”の姿勢は、ハイリスク環境における現実的な選択である。しかし、予算がさらに逼迫し競争が激化すれば、その猶予期間には限りがある。いずれ誰かが最初に動く。そしてその時、業界全体が一気に動き出す可能性がある。2026年か、それ以降か――業界は注視し、そして待っている。

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